マルチフェロイクス材料とはなにか，その研究開発への基盤技術（前編）

摘要

機械構造システムの多機能化, 省エネ，環境能動応答·知能ロボット化や生体医療工学，IT·ユビキタス社会分野は，次世代の産業育成上の重要な技術領域として捉えられ, 近年，内外でそれらにもっと関連した形での知的（スマート·インテリジェント）化技術に関する研究開発がなされている。 知的材料システム（Smart/Intelligent Material System）とは，基本的に，センサ·コントローラ·アクチユニータ〈エフェクタ〉一体化制御機能を有し，状況変化に能動的に対応できるシステムであり，材料側からのアプローチとしては，まず，そこに不可欠な基盤技術要素となりうる高性能，複合機能そして能動応答（Active）機能を有するアクチュエータ·センサ材料の開発が要求されてくる。 図1には，その主な候補のセンサ·アクチュエータ機能両方を有する知能化要素材料とそれら機能発現に密接に関係する相互エネルギー変換型結晶相変態（Phase Transformation）を模式的に示した。 また，図2には，これらの機能要素となる各種物理的·化学的諸量間での相互変換（インプットとアウトプット）に関するパラメータの関係を示した。 図中，表の対角線上は材料物性値，一点鎖線（影部）内の特性はセンサ機能，実線内はアクチュエータ機能を示す。 このように多くのアクチユニータ〈エフェクタ〉材料とセンサ材料は，機能的には表裏一体の関係があり，この特性をフルに利用し統合·融合化すれば，小型で多機能な知的（スマート·インテリジェント）材料システムが設計·実現できることがわかる。