金属ガラスの化学的性質--耐食性

摘要

バルク金属ガラスは物理的性質や機械的性質に著しい特徴があり，新たな合金系の探索に大きな興味を示す研究者が多いが，金属ガラスを実用化する上で耐食性は非常に重要な因子である。 従来，アモルファス合金ではかなり系統だった研究が行われ，各種の高耐食性合金が生み出されたが，現在，その知識を生かしたバルク金属ガラスの開発がなされつつある。 すでに一部の耐食性バルク金属ガラスは実用化が進みつつあるが，耐食性に関する研究はまだ充分とは言えない。 Mg基合金などのように反応性の高い合金を別にすれば，主なバルク金属ガラスはすでにある程度の耐食性付与元素を含み，通常の環境ではある程度の耐食性はもっている場合が多い。耐食性を付与する元素とGFAを上げる元素とは必ずしも一致せず，大幅な耐食性の改善は見込めないことが多いが，今後とも一層耐食性改善に関する研究が必要であろう。 今後のこの分野のさらなる発展を期待したい。 なお，XPSによるこれら耐食性バルク金属ガラスの皮膜組成および下地組成の研究もなされているが，紙数の関係で説明を省いた。