材料が技術に与えたインパクト－超高張力鋼との出会いから生まれた画期的な建築物，タイヤ，吊橋

摘要

鉄鋼材料は建築物·橋梁などの社会インフラ，自動車·鉄道·船舶などの運輸·交通，石油·天然ガスなどの資源の採掘·輸送，電力の生産·輸送，各種の生産設備などのあらゆる社会基盤を支える基幹材料であり，今後もその地位は変わらないであろう．それだけに，環境，安全安心社会，資源，エネルギー問題などの解決に対して鉄鋼材料の進化が果たす役割は非常に大きく，その進化にかける期待も高い．この記事では，「超高張力のボルト」と「超高張力のスチールワイヤ」を例にとって，革新的な材料と構造物·システムの「出会い」が，従来技術の延長線上にはない画期的な構造物·構造システムの発想を促し，環境や安全問題の解決にブレークスルーをもたらしたことを紹介し，構造物の真の革新にはニーズ·シーズの関係を超える新たな材料開発の方法論が求められることを述べる．