続·海軍製鋼技術物語(3)：海軍の航空機用防弾鋼板

摘要

海軍で防弾用薄鋼板が必要になったのは明治18年に水雷局が機関銃の，また芙桑艦がノルデンフエルド砲の防御用として要望した時が初めである（海軍製鋼技術物語，アグネ技術センター，p.55）．その時築地の工場で坩堝で鋼を熔製し，ハンマーで縦34in，横23in，厚さ0.9inと0.75inの傾斜鋼板を試作して，輸入した鋼板と一緒に試射したところ成績が良かったが，量産設備ではなかったので，鋼板を輸入して装備した．その後，海軍の防御用鋼板の開発はもっぱら厚甲鈑に向い，銃弾や砲弾の破片を防御する鋼鈑にはDS，HTといつた高張力構造用鋼が主に使用され，防弾用の薄鋼板は特に研究されなかつた．しかし陸軍の戦車や陸海軍の航空機用防弾鋼板の研究開発には技術的な協力をしてきた．