たたら製鉄の技術論（21）たたら製鉄復元への道

摘要

昭和52年に行われた日刀保たたら復元では，昭和44年に実施された日本鉄鋼協会の復元実験の成果が検討された形跡がない，後者は学術的な調査が行われ昭和46年には「たたら製鉄の復元とその鋳について」が刊行されている．一方，前者は刀鍛冶の要請で玉鋼を供給する目的で操業され，学術的な調査は行われてこなかった．この両者に日立金属工業（株）安来工場が協力したが，鉄鋼協会復元たたら実施に尽力した小塚は日刀保復元たたらには全く関与していない，木原村下は小塚の詳細な記録ノートを保管しているが，師匠の安部村下は見てもいなかったと言う．やはり，たたらの技術は一子相伝，それぞれが自身の体験に基づいた独自の技術として保持しているためであろうか．本文中，氏名には敬称を略させていただいた．また，立場は当時のものである．