長期間大気暴露した普通鋼および耐候性鋼のさびのEPMAおよびTEMによる解析

摘要

耐候性鋼は長期間大気暴露すると表面に緻密なさびを形成し，腐食速度が低下し，ある程度以上はほとhどさびが進まなくなる．したがって塗装する必要もなく，メンテナンスのための費用が少なくて済むことから，特に橋梁等に無塗装で使用され，実績を上げている．しかし，耐候性鋼表面にどの様にして緻密な保護性のよいさびが生成するのか，その条件に関しては種々議論があり，未だに十分には解明されたとはいえない．一般に鉄鋼表面に生じた厚いさびは内層と外層からなることが知られているが，岡田ら1）は内層に存在するCuおよびPの濃縮した微密な非晶質的酸化物層が耐食性を担うと推測した．