最新の廃棄物処理技術：廃プリント基板の現状と重金属の分離回収技術

摘要

近年の情報化社会の発展に伴う電気電子製品のライフサイクルの短縮化により，老朽化および性能の陳腐化した製品の廃棄処理が問題となり，それらのリサイクルが強く望まれている。 使用済みパソコンの廃棄量は1998年では年間4.5万t，2001年には8万tを越えると見られ，今後も増加傾向は続くと思われる。 これらのうち主にリース形態である業務用端末が8割程度を占め，昨年4月に施行された改正リサイクル法に基づきメーカーによる回収が義務付けられている。一方，個人向けパソコンに関しては費用負担を含めた回収制度が最近ようやくまとまりつつあるのが現状である。 また，携帯電話については買い替えも頻繁で，PHSも含めて1999年には年間3150万台以上が廃棄されている。 各通信事業者の自主的な回収も行われているが，現状では全体の3，4割程度の回収率しかないという。これまでこれらの廃棄物には管理型廃棄場への埋立処分や焼却処理が行われてきたが，含有量金属の溶出や焼却処理時の有害成分の排出など，環境や安全に関する課題が多い。 循環型社会形成推進基本法，PRTR法やグリーン購入法などの法規制によって，より環境負荷の少ない製品，製造·物流システムの構築や環境関連情報の開示が進みつつあり，環境保全を考慮したメーカーの自主活動の促進が今後も期待される。 こうした活動に伴い，リュース·リサイクルを視野に入れた筐体素材の開発，解体容易化·省資源などを考慮した製品設計のみならず，廃棄製品中の重金属回収などが報告されている。しかし，現在廃棄されている製品は法規制前の物がほとhどであり，それらの多様で複雑な組成と構造がリサイクルを阻む要因となっている。 中でも鉛や銅などの重金属，難燃剤等を含み熱に不融な熱硬化性エポキシ樹脂，粉砕し難いガラス繊維等から構成される廃プリント基板の処理が問題となっている。