〈反応工学の基礎〉反応装置の設計とスケールアップが解る 第5回 反応装置の設計（2）

摘要

反応速度は温度に大きく依存するので（連載第3回），反応操作において温度制御は非常に重要である。ここでは，反応装置の回分操作における反応の熱収支を考える。図3-5に温度制御のための熱交換の形式を示した。反応温度を一定に保とうとすると，発熱反応の場合は冷却する必要があり，吸熱反応の場合は加熱する必要がある。（a）の反応装置の外側から熱移動させるジャケットの場合は，あまり大きな伝熱面積が取れない。スケールアップの際に問題になることがある。（b）の反応装置の内側で熱移動させるコイルを使った場合は，大きな伝熱面積が取れるが，重合生成物や菌体の付着が問題になることがある。（c）の反応装置外の熱交換器を使う場合は，大きな伝熱面積が取れるが，循環ポンプにより伝熱流体を循環させる必要がある。（d）は大きな凝縮熱を温度制御に利用できる場合の熱交換の形式である。