最新の廃棄物処理技術：排ガス(VOC)処理技術の実際

摘要

塗装·印刷工場などから排出されるベンゼン，トルエン，キシレンなどのVOC（揮発性有機化合物）は，作業者への健康障害や近隣住民への臭気公害だけでなく，大気中に放出されるとオゾンやPAN（有機過酸化硝酸塩）などの光化学オキシダントが合成される。 そのためVOCの排出は酸性雨や地球温暖化の原因の一つとしてあげられており，欧米を中心に厳しい総量規制が実施されている。 わが国においても，1999年7月に「化学物質管理促進法」が成立し，PRTR法（環境汚染物質の移動排出登録制度）が法制化され，2001年度から全面施行されることが決まった。 このシステムの導入により，該当する工場ではVOCを含む数百種類の化学物質に対して取り扱い収支の報告が義務づけられ，それが公表されることから，企業の自主的な管理を促し，環境への被害を未然に防ぐことが期待される。