日本のステンレス鋼の技術を育てた先達/ステンレス鋼の汎用化技術を進めた新日鉄の先達たち

摘要

主題の「日本のステンレス鋼の技術を育てた先達」に関して,新日鉄の分を書くようにとの要請があり,既に新日鉄を離れて久しく，辞退したが,当時の思い出でもよいとの事で,筆者の独断と偏見でサブタイトルを「ステンレス鋼の汎用化技術を進めた新日鉄の先達たち」として,昭和30年代後半から昭和50年代の終わり頃までの思い出の一部分を紹介したい。 まずお断りしないといけない事は,今日の新日本製鉄株式会社は昭和45年に当時の八幡製鉄株式会社と富士製鉄株式会社が合併して出来た事である。従って,筆者の経歴から上記の話題は合併以前の八幡製鉄の部分と合併後の新日鉄の部分にまたがる話になってしまう事である。 更に新日鉄はあくまでも普通鋼が中心の会社であり,当時からステンレス鋼は将来の有望鋼種との認識はあったが，実態はむしろ少数派であった。 以上のような歴史を持っているので,ステンレス鋼専業メーカーの場合とは趣を異にせざるを得ない事を御了解頂きたい。