ポスト石油時代の“分散型エネルギー社会”＜燃料電池＞：“エネルギー·デモクラシー·テクノロジー”燃料電池の社会性

摘要

家電品のすべてが人工知能を持ってネットワークにつながり，外出先から携帯電話などの端末一つであらゆる操作が可能になる。 情報通信技術の進展は，そhな「いつでもどこでも」と呼ばれる「ユビキタス社会」を実現しようとしている。 しかし，21世紀の社会を支える技術開発にとって，環境負荷をいかに低減するかというもう一つの課題がある。 そのため，省エネルギー化や新エネルギーの利用が促進されているのだが，なかでも大きな期待を寄せられているのが，水素と酸素で発電する「燃料電池」である。 石油，石炭，天然ガスなどの化石燃料は，大昔の生物の遺骸が地下深く堆積され，数十億年という長い時間の中で熟成されたものである。 ところが，私たち人類が石油採掘を始めてからまだ100年あまりしか経っていないにもかかわらず，石油はあと40年ほどで枯渇すると言われている。 事実，全地球にはもはや，富士山の容積のわずか半分しか石油は残存していないのである。 そして，燃やすと二酸化炭素などを発生して地球温暖化の原因になること，石油を100燃やして得られる電力は送電ロスも含めて30から50というように，エネルギー効率の悪さも問題視されている。