寒冷地での自治体庁舎における水蓄熱＋大温度差空調へのリニューアル事例－石巻市河北総合支所

摘要

①水蓄熱＋大温度差空調システムとすることでダクト，吹出口等既存空調設備の流用範囲を広げたうえで，受電設備を増加させず暖冷房能力を増強することができた。 ②空調能力の回復と増強により，室内の温熱環境が大幅に改善し，加えてゾーニングの細分化により空調設備の稼動率が高まったため，リニューアル後のエネルギー消費量は増大したものの，夜間電力利用によりランニングコストの上昇を抑制している。 ③本件では竣工後の実測から，リニューアルでの省エネルギー効果の試算を行ったが，さらに“真の省エネルギー効果”を算出するためには，リニューアル前後の気象条件，使用状況（時間帯 藛T数）の変化，室内環境の向上による増エネルギーまで含めてベースラインを定義する必要がある。 今後のリニューアル効果検証に際しての課題であろう。 空気側·水側共に大温度差空調システムは，氷蓄熱との組み合わせが一般的と思われているようであるが，空調機，ファンコイルの水側温度は冷却よりも加熱時の方がより大温度差となるため，適正な（水）蓄熱システムと組み合わせれば，むしろ寒冷地でそのメリットを享受しやすいことが今回実証できた。 本件が寒冷地における空調リニューアルの一助になれば幸いである。