ストリゴラクトンの根寄生植物種子発芽刺激活性およ びアーバスキュラー菌根菌菌糸分岐誘導活性における 構造要求性と農業の利用を指向した分子デザィン

摘要

根寄生植物Striga lutea (syn. S. asiatica)の究芽刺激 物質としてヮタの根浸出液からstrigolが単離され（Cook et al.1966),その構造が決定されて以来（Cook et al. 1972)，数多くのstrigol類縁体（ストリゴラタトン，SL) が合成され，ストライガおよびォロバンキなどの根寄生植 物および作物、雑草種子に対する発芽刺激活性が詳細に検 討された.その後SLはアーバスキユラー菌根（AM)菌 の菌糸分岐誘導活性を示すこと（Akiyamaetal.2005)，さ らにSLあるいはその代謝産物が，植物地上部の枝分かれ を抑制する植物ホルモンとして機能していることが明らか になった（Gomez-Roldan et al.2008 ； Umehara et al.2008). SLの示すこの3種類の生理活性が，その化学構造とどの ようにリンクしているのかを解き明かすことができれば， 3種類の生理活性のうち，1種類あるいは2種類の生理活 性のみを有する有機分子を創製することが可能となる.