果樹の育種指定試験地における研究の現状--パインアップルの交雑育種による生食用品種の育成

摘要

パインアップルの栽培はフィリピン、タイ、台湾、ブラジル、ハワイなど世界の熱帯地域を中心に行われている。わが国のパインアップル生産は主として南西諸島地域において行われている。 パインアップル生産は世界的にも、またわが国においても缶詰やジュース用としての加工原料用果実生産がほとhどで生食用としての果実生産はほとhど見られなかった。 南西諸島に位置する沖縄ではパインアップルが台風に強く、沖縄の気候風土に適して粗放栽培にも耐え得ることから、サトウキビに次ぐ基幹産業になっていった。 そして戦後の昭和四十四年には生産量が一〇万とピークに達したが、その後は漸次減少している。 特に、パインアップルの輸入自由化により、両段と生産が減少している。 したがって従来の加工原料用果実生産だけでは安い外国産の加工製品との競争に厳しいものがあり、収益偲の高い生食用果実生産への対応も考えなければならなくなっている。ところが、パインアップルにおいては、従来外国でも加工原料用品種に対応すべく育種を進めてきたため、生食用として優れた形質を多く具備した品種が少ない。 パインアップルについては現在、外国導入の生食用品種および本来加工用品種として育成したN六七一両〇を生食兼用品種として利用しているが、それらの品種の栽培性および品質面での改良が求められている。 そこで、平成元年度に指定試験地が設置され、栽培容易で品質優良な生食用パインアツ、プルの育種試験事業が展開されているところである。