GPS津波計·波浪計·潮位計

摘要

2011年3月11日，国土交通省によって釜石沖に設置されていたGPS波浪計は，東北地方太平洋沖地震で発生した大津波の波高が6.7mであることをリアルタイムに発信した。気象庁はこの情報を活用した。このGPS波浪計は，筆者らが1997年以来開発を続けてきたGPS津波計の応用展開計測装置である。これは，開発したGPS津波計が秒単位で変化する波浪から，分単位·時間単位で変化する津波，日·月·年単位で変化する潮汐に対して，同じ精度を保ったまま1つの測器で計測できる機能を有している.ことから実現できたことである。このことは，津波のように数十年に1回程度のまれに起こる現象に対する計測器の在り方を提示することにもなった。つまり，日常的に役に立つ計測をしている測器であれば，そのデータの発信に関係機関や関係者が対応しやすく，その機器メンテナンスにも継続的な支援を受けることが容易になることが示された。本稿においては，開発開始から20年を経過した中で，その開発の意義と達成された技術及び将来への展望について記述することとする。2003年頃までに到達していた基本原理とその機能については，著者らが本誌の「海面計測技術特集」として執筆した解説に詳しく示されていることから，それ以降の開発成果を中心に示す。