画像処理技術応用による検査の自動化－画像検査の発展の道程を見据える－人に学ぶ画像検査機械開発

摘要

本稿では，検査マシンビジョンの基本課題，すなわち「きずの発見方法」の構築への取り組みについて解説した。おびただしい数の個別事例に対して，一品一様の開発手法とは異なる設計試論として，根本的な検査原理の発見と，「人に学ぶ」ことの重要性の再確認を提言する。また，具体的な取り組みとして，周辺視と固視微動の人の視覚生理機構に学hだ「傷の気付き」処理を解説した。「傷の気付き」処理は，形状の違い，パターンの欠け，濃度の異常，粒子密度の違い，背景に重畳されたパターン，微小なきずといった異なるタイプのきず·欠陥の何れについても有効である。従って，「傷の気付き」処理は様々な目視検査対象におけるきず発見プロセスとして，高い汎用性を有する可能性がある。また，周辺視と固視微動の視覚生理学的知見に学hだ実装が極めて有効であったことは，検査員の暗黙知·経験知のモデル化に対する有力な手掛かりが示唆できたと考えられる。つまり，やはり「人に学ぶ」設計が検査機械実現の一道程であることを示していると考えられる。