赤外線サーモグラフィによる材料内部欠陥の検出とその数値シミュレーション（欠陥検出における材料の熱拡散率の影響）

摘要

赤外線サーモグラフィを用いた非破壊試験法は，材料や機器構造物などを加熱又は冷却した場合に，それらの表面に生じる温度分布の変化を計測して，内部にある不可視な欠陥を遠隔かつ非接触で可視化·検出する手法であり，材料や機器構造物などの健全性を確認するための新たな手法として注目されている。 この手法は，最近社会問題となっているトンネル内壁の落下に対して，これを未然に防ぐための壁面剥離の先進的検出手法としても利用されている。また，古い建築構造物の壁面の剥離や劣化を迅速かつ効率的に検出可能な非破壊試験法として，その応用が期待されている。更に，原子力プラントなどにおける人間が近寄り難い区域，即ち，管理区域内にある機器構造物や構造材料などの検査や維持管理を遠隔で実施できる手法として非常に有望であるおしかしながら，本手法の適用性及び欠陥の定量的検出に関する研究は，ほとhど進hでいないのが現状である。 また，現在国内において，赤外線サーモグラフィを用いた非破壊試験法に関する規格基準の作成作業が早急に進められている現状にある。 このような現状の下，赤外線サーモグラフィで得られた熱画像から，内部にある欠陥の形状，寸法，位置を正確かつ定量的に識別するための実験及び数値シミュレーションを併用した検討が急務となっている。