レーザ超音波探傷技術の開発と原子炉内保全への適用

摘要

近年，国内外のいくつかの原子力発電プラントにおいて，原子炉内構造物や配管の溶接部周辺に，応力腐食割れ（SCC）という種類の亀裂が発生したとの事例が報告されている。原子力発電の安全·信頼性をよりいっそう向上させていくためには，設備や機器を適切な裕度をもって設計，運用することが基本ではあるが，このSCCへの対策として，次のような技術を準備し，適用していくことも重安である。 （1）SCC発生を抑制する予防保全技術（2）SCC発生状況を把握する検査技術（3）SCC発生部位を補修する補修技術。 原子炉内の構造物は運転中の中性子照射によってそれ自体から放射線を放出するようになっており，また，点検時も稼働時と同じように原子炉圧力容器の水中に設置されている。 したがって，作業員が直接アクセスすることは極めて国難で，予防保全，検査，及び補修はすべて水中での遠隔作業となり，それに対応できる高度な技術が要求される。