特集「原子力発電所をめぐる地球科学的課題」

摘要

2011年東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力福島第一原子力発電所でのメルトダウン事故以来，政府の原発事故収束宣言（2011年12月）にもかかわらず，2013年には新たな地球科学的課題として深刻な汚染水問題が表面化した.その後，東京電力は「汚染源を取り除く」「汚染源に水を近づけない」「汚染水を漏らさない」という基本方針に従い，多核種除去設備(ALPS)，地下水バイパス，海側遮水壁，陸側遮水壁（凍土工法）などの汚染水対策を実施する計画を立てた（汚染水処理対策委員会2013）.しかし現実には，それぞれの対策は，当初の予定ょりも大幅に遅れている.