胃瘻造設にて全身状態を改善し化学療法が継続できた原発性肺癌胃転移の1例

摘要

症例は69歳，女性.肺腺癌，術後再発に対しカルボブラチン（carboplatin),ぺメトレキセド (pemetrexed),べバシズマブ（bevacizumab)併用療法後，10コース目のべバシズマブ維持療法中に固形 物のつかえが出現した.CTでは胃噴門部小臀側の壁の肥厚を認め，上部内視鏡検査にて噴門部狭窄，同部 からの生検組織で肺癌胃転移と診断した.胃瘻造設後ドセタキセル水和物（docetaxel hydrate)による全 身化学療法後15日頃には固形物の嚥下が可能となり，噴門部狭窄の改善が認められた.肺癌胃転移はまれ で診断も困難であるが，全身状態が良好であれば化学療法も期待しうるため，転移に伴う胃通過障害があつ ても，胃瘻などの経管栄養による栄養管理のもと，積極的な全身化学療法の施行も考慮される.