米国Meiji College of－Oriental Medicine附属鍼診療所を受診した3，000名の患者の実態調査ActuaJ Condition Survey of 3，000 Patients in Affiliated Acupuncture Clinic of Meiji College of Oriental Medicine in the USA

摘要

【目的】米国において鍼や生薬治療を受ける患者の年齢、主訴、治療回数、治療期間などには不明な点が多い。 そこで、我々はMeiji College of OrientaI Medicine附属鍼診療所の診療録を用いて、上記の要因について調査した。この研究は、東洋医学の臨床家や鍼灸師、教育者、学生が米国における東洋医学の実態を理解するのに役立つと考えられる。 【方法】鍼診療所を訪れた1996年1月から1999年12月までの初診患者で、最後の治療から6か月以上再来院がない3，000名（男：1，034、女：1，966）の診療録を用いて、統計的分析を行った。 【結果】患者の年齢の中央値は34歳（男性：35歳、女性：33歳）であった。 男女間の年齢には有意差があったが、男女ともに20歳以上40歳未満の患者が多かった。女性が全患者の65．5％、男性は34．5％であった。 主訴は2，235名が症状、653名が病名、112名は分類困難な訴えであった。 症状群では、筋骨格系の痛みが1，008名（33．6％）、筋骨格系以外の痛みが224名（7．5％）、疲労が160名（5．3％）、ストレスが107名（3．6％）、筋骨格系の緊張?凝りが104名（3．5％）であった。 病名群では、アレルギー性鼻炎が61名（2．0％）、喘息が53名（1．8％）、感冒が42名（1．4％）、筋骨格系の痛みが41名（1．4％）、不眠症が38名（1．3％）であった。 分類困難な群では健康管理が最も多かった。 鍼?生薬併用治療は83．2％、鍼単独治療は15．7％、生薬単独治療は1．1％であった。 全患者の鍼治療回数の中央値は2回、治療期間は12日、生薬処方回数は2回、処方期間は11日であった。 鍼単独群と鍼生薬併用群の鍼治療回数と期間には有意差が認められた。 更に、異なる主訴問における鍼治療または生薬処方の回数、期間にも有意差が認められた。 【考察】以上の結果から、患者が鍼単独の治療より鍼と生薬の併用治療を希望していることや鍼と生薬の治療では患者の不快な症状をいかに軽減させるかということが重要であることが示唆された。 更に主訴が異なると治療回数や治療期間が異なることが示唆された。