急性心筋梗塞症治療用ナノ粒子製剤の実用化のための橋渡し研究

摘要

試験物はピタパスタチン封入PLGAナノ粒子 (ピタパNP)製剤，対象疾患は急性心筋梗塞症 (AMI ： Acute Myocardial Infarction)です.AMIは患者の生命予後を脅かす最も重篤な心 臓疾患です.世界で年間700万人がAMIを含む冠 動脈疾患で死亡し，人類死因の第一位です.最近， 医療レベルの向上によって急性期の生命予後は改 善しましたが，AMI患者の長期死亡率は依然と して高いままです.AMIの最も重要な予後規定因子は梗塞サイズ であることから，唯一の最適治療は早期再灌流療 法による梗塞サイズの縮小です.一方，再灌流療 法による血流回復そのものが不可逆的な心筋細胞 壊死を促進し，再灌流療法の梗塞縮小効果を減少させる（再灌流傷害）ことが知られています.