習慣性鼾症を有する片側性唇顎口蓋裂児の成長発育と顎顔面および気道形態との関連性について

摘要

小児において習慣性鼾症を有する60%~80%において閉鎖型睡眠時無呼吸が存在し成長障害と睡眠障害の関連性が近年注目されている.口蓋裂児においてはその気道形態が先天的形態や口蓋裂の形成手術による影響から，上顎骨の前後的および垂直的成長障害を示すことが多く，そのために習慣性鼾症および無呼吸が発症するとの報告もある.本研究では習慣性鼾症を有するUCLP児の顎顔面および気道形態と成長発育との関連性について，習慣性鼾症を有さないUCLP 児，習慣性鼾症を有するOSA児および習慣性鼾症もUCLPも有さない健常児の側面頭部X線規格写真を用いて比較検. 討を行った.検討の結果，習慣性鼾症を有するUCLP児では，顎顔面および気道形態と成長発育において相関性が認められなかった.一方，習慣性鼾症を有さないUCLP児では身長および体重と下顎骨に一部相関性が認められたが，習慣性鼾症を有するUCLP児においてはそれらの相関性が認められなかった.従って，習慣性鼾症による下顎骨の成長発育への影響の大きいことが示唆された. -