小児例における~(99m)Tc-MAG_3レノグラムの検討

摘要

0歳児をはじめとする乳幼児期は成人と異なり尿量が少なく,腎機能も低いため成人と同様な評価は困難である.今回われわれは0歳から15歳までの小児109症例を対象に,~(99m)Tc-MAG._3レノグラムを施行し若干の知見を得たので報告する.対象は臨床診断別に膀胱尿管逆流症13例,腎盂尿管移行部狭窄4例,重複腎盂尿管症3例,水腎症23例,糸球体腎炎4例,ネフローゼ症候群5例,溶血性尿毒症症候群23例,その他10例,器質的変化のない症例24例である.方法は~(99m)Tc-MAG._3を100-222MBq投与後,背面から撮像し体格に応じて1.25-2倍に拡大し, 20分間ダイナミックデータ収集をした.データ処理は両側腎臓に関心領域(ROI)を設定し時間放射能曲線(レノグラム曲線)を作成した.作成されたレノグラム曲線を視覚的に分類し,かつTmax,T1/2を算出し日齢との相関を検討した.その結果2歳以下における健常腎の~(99m)Tc-MAG_3レノダラム曲線のTmaxは,指数関数的に急峻に短縮しY=7.49-0.56In X(r~2=0.134,p<0.05), 3か月で成人の値に近づくが, T1/2は緩やかに直線に短縮しY=8.07-0.0045IX(r~2=0.222,p<0.02), 2歳以降で成人の値となった.これら排泄相の遅延は乳幼児の特徴と考えられた.水腎症をきたす疾患ではVUR以外はレノグラム曲線や形態診断より病変の検出は可能であった.腎炎例などでは~(99m)Tc-MAG_3レノグラム曲線では異常を検出できない症例も多く,小児腎機能の定量的評価が必要と考えられた.