下血を契機にダブルバルーン内視鏡で診断しえた転移性小腸腫瘍の1例

摘要

症例は72歳，男性．69歳時に右腎細胞癌手術の既往があり，糖尿病性腎不全のため血液透析中であった．2005年2月に下血を認め，入院で上部·下部消化管内視鏡検査等の精査をしたが出血源は不明であった.発症から9日後より再出血し，血管造影検査と腹部CT検査で小腸に出血源が疑われ，ダブルバルーン小腸内祝鏡検査を施行した．空腸に粘膜下腫瘍様隆起病変を認め，生検による病理結果より転移性小腸腫瘍（腎細胞癌）と診断され，再出血予防目的で小腸切除術を施行した．腎細胞癌からの転移性小腸腫瘍はまれな症例と考えられたので文献的考察を加えて報告する．