重症ドライアイに対する涙点プラグの治療成績

摘要

涙点プラグは，涙液減少型ドライアイに対する治療の一つとしてその有効性が知られている．今回，当科ドライアイ外来における涙液減少型ドライアイの重症例に対する涙点プラグの治療成績について検討した．対象は， 1996年11月から2000年3月までの間に，涙点プラグ（パンクタルプラグ　FCI社，フランス）を用いて涙点閉鎖を行った涙液減少型ドライアイの重症例51例76眼［女性46例70眼，男性5例6膿，平均年齢58．6(+-)13．4（平均値(+-)標準偏差）歳， Sjo－gren症候群30例49眼， Sjogren症候群以外の涙液減少型ドライアイ21例27眼］である．経過観察期間は632(+-)405（平均値(+-)標準偏差）日である．これらに対して，サイズ（SS， S， M）別の涙点プラグの転帰（脱落までの期間），涙点プラグ挿入前後の角膜上皮障害の改善度，アンケート調査による自覚症状の改善度について検討した．サイズ別の涙点プラグの転帰においては，全体の55．9％のプラグが経過観察中に脱落したが，脱落までの期間にはサイズの違いによる差はなかった（脱落までの平均期間はSSプラグ173日，Sプラグ230日，Mプラグ355日）．また，角膜上皮障害については，プラグ脱落群とプラグ非脱落群の両群でともにプラグ挿入後に有意な改善があった（p＜0．001）．改善度が最も高かった自覚症状は，乾燥感で26例（79％）であリ，悪化した自覚症状は流涙のみで12例（36％）であったが，その程度は軽度であった．涙液減少型ドライアイの重症例に対する涙点プラグ挿入術は，有効な治療法であると考えられた．