正常眼圧緑内障におけるカルシウム拮抗薬投与による視野および眼循環に対する長期効果：3年間のプラセボを対照とした無作為割付による二重盲検比較試験

摘要

東京大学附属病院に通院中の正常眼圧緑内障（NTG）患者の内で無治療時限庄が常に16mmHg未満，Humphrey30－2SITA Standard ProgramのMean Deviation（MD）が－20dB以上であった33例を最小化法により無作為にカルシウム措抗薬（Nilvadipine 4mg/日）投与群とプラセボ投与群に分類し，prospectiveに3年間の経過観察を行った．経過観察中，両群間に眼圧の有意差は認められなかった（Nilvadipine群：平均12．6mmHg，プラセボ群：平均12．8mmHg）が，時間に対するMDの傾きはNilvadipine群で有意に低かった（－0．01dB/yearvs－0．27dB/year，p＝0．040）．また，laser speckle法により測定した血流量（NB値）は，視神経乳頭および中心寓において，プラセボ群では有意の変化がみられなかったのに対して，Nilvadipine群ではbaselineと比較して30～40％増加し，有意差（視神経乳頭：p＝0．03，中心窩：p＝0．007）が認められた．この結果はNTGに対するNilvadipine投与が視野障害進行防止に有用であることを示唆するものと考えられた．