膵頭十二指腸切除術後のMRSA·緑膿菌複合感染にteicoplanin併用療法が奏効した1例

摘要

消化器外科領域では，1980年代後半よりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌（MRSA）による感染症が発生し，院内感染として大きな社会問題となった。 その後，手術前後の抗菌薬の使用方法の改善や院内感染対策が功を奏し，MRSA感染症の発症頻度は減少し，特に重症症例は激減している。 しかしながら，糖尿病，膠原病などの基礎疾患を有する患者や免疫能が低下している高齢者に対して，過大な侵襲を伴う手術を行った場合には，しばしばMRSA感染症の発症を避けることができず，依然として患者の予後を左右する問題として存在する。