大ぅつ病性障害に伴うpainful physical symptomの 疫学調査と治療効果の検討

摘要

大うつ病性障害に伴う痛みpainful physical symptom (以下，PPS)は，大うつ病性障害 の寛解，再発·再燃と密接に関係している。海外では，疫学や治療効果の評価がなされて いるが，日本国内では疫学調査は数少なく，薬物療法の治療効果を検討した報告はデュロ キセチンの国内第m相試験のみで，臨床現場で検討された報告は未だない。今回我々は， 当院においてDSM-1V-TRにより大うつ病性障害と診断された100例を対象とし，PPSの有 病率を調査した。またPPSへのデュロキセチンの有効性，および安全性を検討した。結果， PPSの有病率は59%であつた。デュロキセチンはPPSに対して速やかな改善効果が認めら れ.加えて精神症状に対しても速やかな改善効果が認められた。さらに，重篤な副作用は なく，忍容性も良好であった。今回の検討より海外同様，国内でもPPSを有している患者 は多いことが確認でき，PPSに対するデュロキセチンの改善効果も確認できた。