難治性かつ緊急性を要する致死性不整脈患者を対象としたアミオダ口ン塩酸塩注射剤（アンカ口ン注150)の使用実態下における有効性ならびに安全性の検討

摘要

目的：血行動態に重大な破綻をきたす心室細動（VF)および心室頻拍（VT)で難治性 かつ緊急を要してアミオダロン塩酸塩注射剤（以下，アミオダロン注）が投与された日本 人症例を対象に使用成績調査を実施し，使用実態下におけるアミオダロン注の有効性およ び安全性を検討した。方法：本調査では，用法?用量に介入をせず診療実態を収集した。観察期間は投与終了 後4週間までとした。安全性は有害事象の発現状況から評価した。有効性はVF/VTの発現 回数や治療効果から評価した。結果：有効性解析対象症例369例におけるアミオダロン注の有効率（医師評価）は，初期 急速投与後48時間以内では91.9% (95%CI ： 88.6-94.4%),初期急速投与後48時間超-観察期 間終了時では92.6% (95%CI ： 89.1-95.2%)であった。安全性解析対象症例593例において， 副作用は66例（11.13%) 83件，重篤な副作用は31例（5.23%) 40件で報告された。主な事象 は臨床検査値異常（36件，6.07%),心臓障害（15件，2.53%),肝胆道系障害(10件,1.69%) であった。添付文書の規定に従ってアミオダロン注が投与されていた症例の割合は，有効 性解析対象症例では38.48%,安全性解析対象症例では30.19%であった。結論：本使用成績調査の結果，アミオダロン注のVFおよびVTに対する有効性が示唆さ れた。報告された副作用はいずれも既知の事象であり，海外の結果と比較しても日本人に 特徴的な副作用は報告されなかった。また，実臨床において，アミオダロン注はその投与 量など，患者状態に応じて柔軟に使用されている実態が示された。