エラスポール~Rが著効した急性呼吸窮迫症候群の幼児例

摘要

われわれは，横隔膜ヘルニア術後の癒着性イレウスを契機とした全身性炎症反応症候群（以下，SIRS）に伴う急性呼吸窮迫症候群（以下，ARDS）を発症した幼児に，好中球エラスターゼ阻害剤であるシベレスタットナトリウム（以下，エラスポール~R）を投与し救命し得た症例を経験したので，その有用性について報告する。 净颊摺?歳5カ月，男児。主訴：発熱，嘔吐。 既往歴：先天性左横隔膜ヘルニアの診断で，2生日日に開腹下にpatch閉鎖術を施行した。 生後6カ月時にpatch感染によりpatch除去術を施行し，その後横隔膜ヘルニア再発状態であった。 また，特発性右乳糜胸水を認め，ドレナージ吸引療法やMCTミルク投与などにても効果なく，27生日目に胸腔内にOK432（ピシバニール~R）を注入し治癒した。