脳梗塞慢性期の治療に関する患者め意識·医師の意識-インタ一ネッ卜調査-

摘要

脳梗塞は再発の多い疾患であるが，患者の薬剤未内服が要因と考えられる再発があり， 大きな問題である。予備調査では，脳梗塞再発予防のための抗血小板薬内服に関して情報提供が不十分であることと，患者·家族は薬剤の価格よりも再発予防のための質を希望していることが示された。そこで今回，対象者数を増やし，定量調査とともに医師の意識についても同時にアンケ一ト調査を行った。対象は脳梗塞患者300名で，脳梗塞の再発予防のために抗血小板療法を行っている現在治療者210名.（軽度障害106名，中等度障害52名，重度障害52名），現在は抗血小板薬を服用していない過去治療者90名，さらに脳梗塞の再発予防として抗血小板薬による治療を行っている医師200名である。脳梗塞患者では再発に不安感·恐怖感があり，再発を経験している患者や重症患者ほど強かった。また，医師から脳梗塞の再発予防についての説明は受けているが，抗血小板薬による脳梗塞再発予防の重要性を理解している患者が少なく，医師が説明したと思っていても患者は十分に説明を受けていないと思っているという意識の乖離が生じている。さらに患者は，価格よりも再発予防効果が高い薬剤，副作用が少ない薬剤を望hでいるが，それを理解している医師が少ないことが分かった。脳梗塞患者と医師との間の認識の乖離を理解し，得る情報源として患者が最も信頼している医師が，患者·家族に対して組織的かつ継続的な啓発活動を行い， 薬剤中止を安易に行わせないようにする必要がある。