脳梗塞治療に関する患者の意識を考察する-インタビュー調査の結果より

摘要

脳梗塞は再発の多い疾患であるが,患者の未内服などの薬剤の問題が要因と考えられる再発の場合がある.その背景には,脳梗塞再発予防のための抗血小板薬内服に関して医師と患者の考えが禿離している可能性がある.脳梗塞の再発予防のために抗血小板療法を行っている患者と,現在は抗血小板薬を服用していない患者を対象としたアンケートの予備調査として,少人数を対象に脳梗塞の治療に関する患者およびその家族の意識についてインタビュー調査を行った.対象は脳梗塞既往患者20名で,その内訳は,現在抗血小板薬を服用している患者が16名(軽度障害6名,中等度障害5名,重度障害5名),服用していない患者が4名である.医師や医療従事者とのコミュニケーションについては?満足できる? ?まあ満足できる?が75%を占めていたが,抗血小板薬について十分理解している患者は20%にとどまっていた.抗血小板薬による脳梗塞再発予防に対する考えとして,患者·家族は薬剤の価格よりも再発予防効果の高さや副作用の少なさを重視しており,医師が日常診療で薬剤費を気にしながら処方しているのとは禿離がみられた.脳梗塞の治療に対する患者と医師の間の認識の尭離をなくすために組織的かつ継続的な啓発活動が必要と考えられる.