ァリピプラゾールへの切り替えにより演奏活動を復活させ，その後1年以上再発せず， 継続した演奏活動を支えることができた初発統合失調症のジャズピアニストの1症例

摘要

聴衆の前で.ジャズにその生命を与えるのは，インプロビゼーション（即興演奏）である。ジャズピアニストの仕事をしている初発統合失調症患者にァリピプラゾールを投与した1症例を提示した。統合失調症は，服薬の中断による再発や，抗精神病薬による過剰な鎮静により認知機能が落ち，発病前の仕事に復帰しづらい疾患である。本症例がこうした弊害もなく治療継続できた理由は，ァリピプラゾールの薬理特性による効果と副作用の少なさにあると考えられる。筆者はこれまで，高い知的能力を必要とする専門職を持つ統合失調症患者が発病前と同じ社会生活を送れるようになった例を見たことがない。40年の精神科医生活において初めての経験に感動したので，これを発表する。