節外性リンパ腫における腫瘍細胞および腫瘍内浸潤リンパ球の免疫組織化学的解析

摘要

節外性の悪性リンパ腫における腫瘍細胞の変異型p53蛋白の発現と宿主側の免疫応答との関係を明らかにするために胃（11例），ワルタイエル輪（5例）原発のB細胞性のびまh性大細胞型リンパ腫を対象とし，免疫組織化学的に腫瘍細胞のp53蛋白発現と．腫瘍内浸潤リンパ球（tumor infiltrating lymphocytes：以下TILs）の性格について解析した．胃原発悪性リンパ腫では，変異型p53蛋白は11例中5例（46％）に陽性所見が認められた．これらの症例では，TILsであるCD3やCD8陽性細胞およびマクロファージはp53変異のない症例と比較して有意に少なかった．一方ワルタイ工ル輪原発の悪性リンパ腫においては，p53陽性症例は5例中2例であったが，このような関係は認められなかった．以上の結果から，胃原発の悪性リンパ腫の変異型p53蛋白陽性例においては，抗腫瘍T細胞として宿主側の免疫機構に関与しているCD3＋TILs，CD8＋CTLsならびにマクロファージは減少しており，抗腫瘍反応も減弱している可能性が示唆された．組織切片上でこれら免疫担当細胞を観察することは，予後を推定する上で役立つ情報が得られると考えられた．