IX造血器腫瘍と類縁疾患悪性リンパ腫非Hodgkinリンパ腫その他のリンパ腫および特殊型節外性辺縁帯リンパ腫：粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫

摘要

節外性(濾胞)辺縁帯リンパ腫：粘膜関連リンパ組織リンパ腫(extranodal marginal zone lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue ： 以下MALTリンパ腫)は，1983年にIsaacsonら により提唱された節外臓器付属リンパ組織(粘 膜関連リンパ組織)に原発する低悪性度B細胞 リンパ腫である1).粘膜関連リンパ組織には小 腸のPeyer板など一次性のものと，胃，肺，甲 状腺，唾液腺，涙腺など生理的にはリンパ組織 力在しない部位に二次的に形成されるものが あり，MALTリンパ腫は慢性炎症病態を基盤に 後者から発症する.炎症病態を基盤とするため， 背景には非腫瘍性の形質細胞をはじめ様々な炎症細胞が出現し，疾患概念が確立する以前には， 胃，肺，唾液腺，甲状腺などの病変はpseudo-lymphomaやreactive lymphoreticular hyperplasia (RLH) と呼ばれ，非腫瘍性病変と認識されて いた.