再生不良14貧血の病態と治療：病態診断を活用した治療略

摘要

何らかの原因で造血幹細胞が持続的に減少した結果， 血球減少を生じた状態が再生不良性貧血の本態である。標準的な疾患モデルマゥスが確立されていないことから，その発症メカニズムについては臨床的経験や実験結果から推察する必要がある。造血幹細胞が減少する機序としては，当初，造血幹細胞自身の異常や骨髄微小環境の異常が想定されていた。しかし，現在は，T細胞を介した免疫学的機序による造血幹細胞の傷害が，本症の主な病態であろうと考えられている（図1)。以下，それぞれの発症メカニズムについて，これまでに明らかにされている知見を整理し，最後に病態診断を活用した再生不良性貧血の治療戦略について解説する。