41.器質化性肺炎様陰影を呈した臈管内乳頭性粘液性腺癌多発肺転移の1例

摘要

58歳，男性.喫煙1日30本38年間.糖尿病で通院中，咳嗽を伴う両側肺陰影が出現し，抗生物質に反応せず，前医で器質化肺炎を疑いステロイド治療開始.改善せず当院に転院.胸部CTで両側肺に一部consolidationを伴う多数のすりガラス陰影と，膊尾部に膊管内乳頭性粘液性腫瘍を疑う嚢胞性病変を認めた.経気管支肺生検の病理像で線維化や肉芽様組織を認め，一部の細動脈内腔に異型は乏しいがTTF-1陰性の粘液産生上皮を認めた.CA19-9 12000U/mlなどから膊癌肺転移の可能性が示唆された.PET検査では胸腹部に悪性腫瘍を疑わせる集積像を認めなかったが，内視鏡的経鼻膊管ドレナージで採取した膊液で腺癌細胞を認めた.浸潤性膊管内乳頭性粘液性腺癌(IPMC)の診断に至り，肺病変はその転移と考えられた.IPMCの肺転移所見としては稀と考えられ，文献的考察を加えて報告する.