肝切除術後の肝再生一肝細葉面積と末梢グリソン鞘密度の検討

摘要

臨床例において肝切除術後の肝再生につき検討した.再切除術施行非硬変肝19例(初回術式: 2区域切除3例, 1区域切除10例,亜区域切除6例)の切除標本を用いた.肝細葉の面積及び,一定面積内に存在する末梢グリソン鞘数の測定を行い,それぞれの結果を初回切除標本と再切除標本で比較検討した. 1区域以上切除の13例では,再切除時の肝細葉面積は初回切除時に比して有意に大きく(p=0.0001),一定肝面積内に存在する末梢グリソン鞘数は初回切除肝と比較して有意に減少した(p=0.002).非硬変肝における1区域以上の肝切除では,肝細胞の増生の方が末梢グリソン帯の発育より優位であり,このため末梢グリソン鞘数の密度が減少すると考えられた.