オルガノン·スポンサードシンポジウム「High QuaIity Egg＆Embryo」2）卵巣の予備能と低反応症例－poor responderからPOFまで

摘要

卵胞数は出生時より更年期にかけて減少し続けるが，ゴナドトロピンへの反応性が変化するのは40歳を過ぎてからであり，preantral follicle数がある限度を超えて減少することに起因するinhibin Bの分泌低下がFSH倍の上昇を招き，FSH倍の恒常的な上昇がさらに卵胞の閉鎖を促進する．poor responder，すなわちCOH（controlled ovarian hyperstimulation）に対する反応不良例の存在は，ARTの成功率に最も大きな影響を与える因子である．poor responderは，卵巣予備能すなわち卵子の量的·質的低下を意味し，通常は前述の如く加齢に伴う現象である．年齢に比例しないhMGへの反応性の低下の原因としては，卵胞数の早期減少が最も一般的であると考えられるが，ゴナドトロピン受容体の異常，さらにIGF（insulin－like growt hfactor）機構の異常などの特異的な先天的因子，および卵巣の炎症などの後天的，医原的因子が関与することも知られている．