HSPの診断,治療に関するワンポイント·レッスン

摘要

Henoch-Schonlein紫斑(HSP)は皮膚血管炎の中で最も頻度の高い疾患であり,大半の患者は紫斑を主訴に皮膚科を初診する.本症に合併する腎病変は皮膚症状に遅れて出現することが多く,皮膚科医の早期診断が予後に大きく影響する.本稿ではHSPの早期診断· 治療を適切に行うための方策について述べる. 1.HSP診断の問題点小児では触知性紫斑を認める症例に腹部症状あるいは関節症状が合併している場合には,病理組織検査を施行しなくともHSPと診断できる(表1).その理由は,HSPが小児に発症する血管炎全体の90%以上を占め,他の血管炎の可能性が極めて低いためである. 一方,成人では顕微鏡的多発血管炎,続発性血管炎(膠原病,感染,腫瘍,薬剤),特癸性白血球破砕性血管炎など多くの鑑別すべき皮膚小血管炎が存在するため, HSPの確定診断のためには皮膚または腎におけるIgA沈着を証明することが必須であると強調されている(表2).