ステロイドパルス療法

摘要

副腎皮質ステロイド剤による円形脱毛症治療では, 治療効果と副作用の回避とを考慮する必要がある.全身投与では,投与量,投与期間などについて様々な検討が行われてきたが,円形脱毛症に対する投与方法は未だ定まっておらず,副作用や投与中止後の再発を考慮するとステロイドの全身投与に対する否定的な意見も多い.ステロイドパルス療法は,一般的には重症の自己免疫疾患などに対して用いられ,パルス後も比較的多量のステ口ィド剤の投与を行い漸減するものであるが,近年行われている円形脱毛症に対するパルス療法では,ステロイド剤の全身投与はパルス中の数日間のみで,パルス後には副腎皮質ステロイド剤の全身投与は行わないという点で特殊である.日本皮膚科学会による円形脱毛症診療ガイドラインでは,16歲以上で脱毛面積25%以上の急性期(発症から3-6力月)の症例に対する治療選択肢として記載された.