レビー小体型認知症の錯視?幻視 バレイドリア誘発課題を用いた検討

摘要

抄録：幻視はレビー小体型認知症(DLB)の中核症状の一つである。幻視は日常生活のなか のいつ，どこで出現するかわからない現象であり，検査によって直接的に検出することの難しい症状である。幻視，もしくはそれに類似した症状を誘発する方法が開発されれば， より高い精度での鑑別診断と治療効果の判定が可能になるだろう。今回われわれは，DLBの幻視はバレイドリアと呼ばれる複雑錯視と連続した現象であるという仮説に基づt 、て， バレイドリア誘発課題を作成した。本研究の目的はこの作成した課題を用いて，?DLB患者でバレイドリア反応を誘発すること，②パレイドリア反応がほかの認知症性疾患との鑑別に有用であるかを確認すること，③パレイドリア反応がDLBの幻視の代用尺度になるか否かを検討することである。DLB患者33名，アルツハイマー型認知症(AD)患者33名， 健常高齢者12名を対象にバレイドリア誘発課題，各種神経心理検査，Neuropsychiatric Inventory (NPI)を施行した。DLBのパレイドリア反応数はADやNCよりも有意に多く （そ れぞれU=216.5, P<0.001; U=54.0, P < 0.001)，本課題がDLBとADの鑑別に有用であることが確認できた。またDLB患者におけるパレイドリア反応数はNPIの幻覚のスコアと相関 を示し（rs=0.370，P=0.034)，本課題のパレイドリァ反応が幻視の症状の代用尺度になる可能性が示唆された。