上腸間膜動静脈血栓症による急性腹症で発症したintravascular lymphomaの1例

摘要

intravascular lymphomaは全身小血管内腔に腫瘍増殖をきたすdiffusel arge B celll ymphomaの1亜系で，その頻度は悪性リンパ腫全体の1％以下とされるまれな疾患である。 中高年者に多く発症し，病変部位は中枢神経系（39％），皮膚（39％），骨髄（32％）が多く，消化管病変の頻度は8％と報告されている2）。 様々な臓器の小血管において腫瘍塞栓を生じることにより皮膚症状や神経症状など侵襲部位に応じた特徴的な症状を呈し，しばしば感染症や膠原病との鑑別が問題となる。 このようなタイプは，Classicalintravascular lymphomaと呼ばれ欧米での報告が多い。わが国においては血球貧食症候群を特徴とするAsian variant of intravascular lymphomaが多く，診断基準も提唱されている。Asianvariant of intravascular lymphomaは発熱，夜間盗汗，体重減少のB症状を伴いやすく，Classi-cal intravascular lymphomaと比べて神経症状を伴いにくいとされている。