無線干渉信号に対する適応無線通信方式による効果の実証

摘要

IEEE802.15.4／ZigBeeの無線機は，比較的近距離用の無線機であり家庭内のような小さなネットワークに使用されている．通常のキャリアセンスでは時間をシェアし複数の端末を共存させているが，現実的には家庭内では端末数は多くなく，特に身近にある電子レンジのような干渉波との対応を考えることが有用である．キャリアセンスは，最小受信感度に近い一定の閾値以下で電波を発射する仕組みである．無線機のD／U比（Desired／Undesired）が高ければ通信することが可能であるはずが，閾値が固定的に低い値であるために，通信開始の妨げになっている．したがって複数の端末との共存を想定せず，干渉波に対して適応的にキャリアセンスの閾値を設定することにより，通信を開始することが出来る．実験の結果，キャリアセンスによりD／U比が5dB以上と判明した場合には通信が成功することを実証した．また，D／U比が0dB付近ではフェージングの影響により成功率が中間値となることを確認した．さらに，D／U比が5dB以下の場合には通信が成功しないが，広がった無線信号のnull点に干渉波がいる場合には，通信を開始しても成功することも確認した．