反転パルス位置変調方式を用いた水中可視光ワイヤレス給電通信システムに関する基礎検討

摘要

本研究では，柔軟な水中無線通信ネットワーク網構築のため，可視光通信と可視光無線給電を組み合わせた水中可視光ワイヤレス給電通信システムについて検討を行なっている．本システムは受光素子として光電変換効率の高い太陽電池を用い，受信光信号から通信信号と電力を同時に取り出すことを目的としている．受信光信号から通信信号と電力を分離するために交流／直流（AC／DC）分離フィルタを用い，水中光伝搬路としては光の放射パターン（ランベルト放射），水中光減衰（ランベルトベール則）を考慮している．さらに本稿では，光強度変復調法として，オンオフキーイング方式（on-off keying：OOK）とパルス位置変調（pulse position modulation：PPM），反転パルス位置変調（inverse PPM‥IPPM）を用いた場合の通信性能及び給電性能について検討を行なっている．その結果，通信性能評価においてOOKの最大ビットレートは400kbpsとなり，PPM，IPPMでは350kbpsとなった．給電性能評価において，OOKは給電電圧のばらつきの目標値10%以内を全てのビットレートで達成できなかったが，IPPMでは全てのビットレートにおいて目標値10%以内を達成しており，安定した給電が可能であることが示されている．