実観測に基づく電波環境データベースを用いた干渉電力設計

摘要

周波数資源の二次利用を目的とした電波環境認識手法として，電波環境データベースの利用が盛hに検討されている．筆者らは，周波数二次利用ユーザが観測した電波環境情報の蓄積から構築されるデータベースを検討している．本データベースは実観測に基づくことから，米国FCCが定義する電波伝搬モデルに基づくデータベースと比較して高精度な電波環境推定を実現できることが特徴である．本稿では，観測値の蓄積に基づく干渉電力設計法を検討した．提案手法では，複数の観測端末から報告された観測値を元に平均受信電力の区間推定を行なう．確率分布の形状に依存しない区間推定法としてブートストラップ法を用いることで，データベースに蓄積された観測サンプル数に依存しにくい推定精度を実現できる．加えて，推定信頼区間の下側信頼限界値を基準とした信号の瞬時変動を考慮することで許容干渉電力設計を行なった．計算機シミュレーションを通してシャドウイング相関のPU保護確率への影響を明らかにし，推定平均電力へのマージン設計の効果と併せて示した．