自主技術開発歴訪 ウラン濃縮遠心法4 ソ連の戦争捕虜が創った新概念遠心機（前篇）

摘要

ナチスドイツの降伏を目前にして一九四五年四月にベルリンが陥落した。シーメンスの工場長で物理学者でもあるマックス·スティーンペックは、捕虜としてソ連に連行された。また、オーストリア人科学者ゲルノート·ジッペは、ウィーン大学のラジウム研究所で博士号を取得してまもなく徴兵され、レーダーと飛行機の研究をしていてソ連軍に拘束された。その後、この二人はソ連のウラン濃縮研究に投入され、これまでの遠心法の課題を一挙に解決する革新的な遠心機を創り上げ、後に、ソ連のみならず、世界のウラン濃縮事業に大きな影響を与えた。