原子力の必要性を再確認し新規建設を続行

摘要

二〇一一年三月の福島第一原子力発電所事故によって、欧州での原子力開発は脱原子力国と開発継続国に分かれた。ドイツは前年の脱原子力見直しから半年も経たない中、再び脱原子力へと舵を切り、八基を即座に閉鎖するとともに、残りの炉も二〇二二年までに閉鎖することを決めた。また、原子力の再始動に向けて建設計画が具体化していたイタリアは、国民投票で否決されたことを受けて建設を断念した。また、スイスは運転期間が五〇年を超える原子炉から順次閉鎖し、その後の建て替えは行わないことを議会で決めた。また、脱原子力を見直しっつあったベルギーは再度、脱原子力に傾いた。しかし、欧州の大半の原子力国は継続の方向である。欧州連合（EU）加盟国およびスイスを合わせて欧州二八か国のうち一六か国で原子力発電開発が行われているが、明確に脱原子力に踏み切ったのは前述の四か国に留まり、残りの国は運転を継続している。中でもフィンランド、フランス、英国は新規建設の継続を明確に表明している。ここではフランス、英国について福島事故後の原子力開発状況を紹介する。