タクシー無線における位置情報を用いた基地局間協調制御法に関する検討

摘要

大ゾーン方式により展開されてきたタクシー無線では，都市部の高層ビルの増加により発生する大規模な不感地帯を解消すべく，同一周波数を用いたマルチセル通信の実現が期待されている．これまでに筆者らは，マルチセル通信において深刻となるセル間干渉を解消すべく，タクシー無線において基地局が各車輪の位置情報を容易に収集できる点に着目し，セル間の干渉の度合いを位置情報により算出し，その度合いからセル間の直交性を制御する簡易な基地局間協調方式を提案するとともに，その有効性を明らかにしてきた．本稿では，これまで2セル構成のみであった提案方式の適用範囲を3セル以上のマルチセル構成に拡張すべく，全セルを2セルの組み合わせに分割し，各2セル内に生じる干渉の度合いを即、て直交性の制御を行う方式を提案する．提案方式の有効性を確認すべく，瞬時SINR をベースとした従来方式と基地局間協調を行わない方式を比較対象として，計算機シミュレーションにより評価する．